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評価:
小川糸,高井浩子
キングレコード
¥ 2,926
(2010-09-01)
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★ネタバレです。
ベストセラー作品を映画化ということで、映画「
食堂かたつむり」を試写で見る。
なんの予習もなく、つまり原作を読まず見たので、小説に対する批評ではなく、素直に映画のみの批評ということを予めご了承願いたい。
▼主役倫子の設定主役の柴咲コウが限りなくノーメイクのようなメイク。そばかすいり。
これが主人公の素朴さを出してて、柴咲自身のはっとするような美女というイメージをかき消している。
服装もいわゆる森ガールというべきなのか、たしかに素朴でナチュラルなんだけど、森ガールとはちょっと違うんじゃないかと思いつつ。
そして今回柴咲は声のでない役柄なので殆どしゃべらない。
会話は単語帳のようなものにささっとペンで書いてそれを見せる、ということで成立している。
声を失っているというのが彼女が失恋で何もかも失ったという状況をうまく伝えていると思う。
きっと、家財道具一切なくしたってだけでは彼女の大きな喪失について、きっとそんなに伝わりきらないと思うので。ただ、声をなくしたという女性が料理で人を幸せにする、という設定をみただけで、殆どの人が最後は彼女が彼女の料理で自分の声を取り戻すんだろうなとわかってしまうのはしょうがないとはいえ、もう少し意外性もあって良かったかなと思う。
料理を作ることがメインになっているとはいえ、この物語の肝は喪失と再生なのだろう。
だったら、もうすこし声の出せない彼女でもその心情を描くシーンが有っても良かった気がする。
もちろん、ふくろうのエピソードとか母との関係などで描かれているけれど・・・。
▼人との関係性同じ村の同級生が倫子の料理を友達を連れてやってくるエピソードが個人的にはすごく気持ち悪かった。虫じゃなくても良かったんじゃないかなって思ったんだけど、それは友達が嫌がらせで、というのなら納得が行く。しかし、さわやかな食堂でのエピソードに突然挟み込まれるエピソードにしてちょっとエグい。しかも友人が故意にやったことを打ち明けたあと、倫子にそれに対するリアクションがないまま、最後、母親の結婚パーティーに普通に参加してるのにびっくり。
同級生の妬みに対する解決がなされていないんじゃないの?と最後まで気になった。
小説ではそのあたりちゃんと解決しているんだろうか・・・。
あと、突然訪れる主治医。そして主治医との結婚。
あれは昔離れ離れになってしまった彼なの?
ようやく巡りあえて、やっと二人が結ばれるってことなのかそれとも、ぜんぜん違うのかが微妙にわかりづらかった。話の流れ的には関係ない人だとしたらなんで今まで結婚してなかったのに、この人とは簡単に結婚を決意するのだろう?と疑問が生まれてしまうので、多分昔の恋人なんだろうなと結論づけたけど、映画ではセリフを聞きそびれたのかそのあたりがわからなかった。
▼ごはんでしあわせになる演出倫子が作った料理で幸せになる演出がちょっと大げさ。
まぁ全体的にミュージカル風というか中島哲也のような鮮やかなオブジェクトの扱い方がなされていたので、そういう意味ではその中にうまく収まっているとは思うけど、料理を食べる度に漫画みたいに食材に囲まれてキラキラ〜っていうのは、そのたびに我に帰ってしまう。
特に、老婦人のエピソードの食べる度にどんどん若返るところが極端すぎる。
舞台ではあれくらいしてもいいけど、映画であれやっちゃうとなんか陳腐すぎて・・・。
あと、お妾さんという言葉。
べつにあれだと、お妾さんじゃなくてよかったんじゃないかなと。
愛する夫に先立たれて、失意にくれる老婦人だったら夢に夫が出てきて「どうせまたすぐにあえるじゃないか」的なことをいわれたといったあとの展開も素直に受け止められたのに。
あれでは本妻はどうなるの?と気になってしまう。あの世でも本妻は本妻でしょ?
しかも、倫子自体が不倫の子といわれていたというエピソードと老婦人はお妾さんという設定が映画全体をなにか猥雑なものにしている感じがしてそこもちょっといただけなかった。
それといえば、ブラザートムが演じる男性も離婚した妻が娘を連れて行って、という何気に寂しい状況。ああいうリアルな現実とあの世界のメルヘンなかんじがすごく乖離していて、わざとなのかもしれないけど、物語自体を素直に受け止めきれなかったのは事実。
豚を屠殺して食べちゃうっていうのもリアルだし、最後に鳩が激突して死んだのを食べるっていうのもリアル。メルヘンだけじゃなくて実際は食というものは「いただきます」という言葉に端的にでているとおおり「生物の命をいただきます」ということなんだっていうのをアピールしてるのかな。
でも、リアルとメルヘンの極端な行き来が見ているものをどっちつかずの気持ちにさせている気はする。あと、ぬか床のエピソードがあんまり生きてない。
このぬか床をもっと親子のエピソードに絡められていたらいいのに、中途半端すぎる。
▼本当の主役は母親かもこの物語のキーマンは倫子の母親。
この人がいなければこの映画は30分ももたないかも。
それくらいアクが強い。田舎なのに高級な生活。しかも豚と。
なんで豚?
まぁそれはいいとしても、そこまで高級な生活ができる生活基盤があのパブ(?)の収入だけでまかなえるとは思えない・・・。
謎が多いわりには単純に一途な女で娘思いのいいお母さんだったっていう。
あんまりひねりがない。でもきっとこの人のほうが主役よりいいキャラ。
アナザーストーリー的に展開出来そうなキャラだと思う。
▼結局よくわからない雰囲気で楽しむ映画といえばそうかもしれない。
お料理がおいしそう!!っていう部分だけならそうだなーと。
ただ、前述した通り、どっちつかず過ぎて、妙な違和感だけが心に大きく残りそうな作品であることは事実。
笑っていいのか、本気なのかわからない。
誰向けなんだろう、この映画。
★★☆☆☆